2020,03,07

東北の復興は終わっていない

 3.11が近いのでいろいろなメディアで津波や福島原発のことが取り扱われています。NHKスペシャル「メルトダウン連鎖の真相」映画「太陽の蓋」映画と書籍「福島フィフティ」など見ると津波による電源喪失が無かったら、防潮堤が10メートルあったら、あのような悲劇に至らなかったのにという思いを強く持ちました。元原子力委員会委員長代理の鈴木達治郎氏は「アンダーコントロールなんてとんでもない、こども被災者支援法というすばらしい法律があるのだから」それをもっと運用するべきだ」と言っています。双葉町は7100人の人口のうち一人もかえっていません。大熊町は11505人のうち156人しか帰れていません。この法律によれば「帰っても帰らなくても支援する」「政府がきちんと責任を取る」と明記されているのに現政権は帰らない人たちへの住宅手当をストップしました。なんとか帰った人が近くの森でキノコをとり、検査をしたところ20倍の放射能が検出された、と新聞に投書していました。健康被害が心配される中ふるさとに帰りたくても帰れないと決めている人はたくさんいます。「福島はオリンピックどこでねえ」「復興5輪は不幸5輪」「住民もアスリートも被ばくさせないで」とプラカードを掲げてデモをしているひとたちもテレビで紹介されました。
 「福島フィフィティ」は決死の覚悟で原発にとどまり最悪の事態を防ぐ努力をした原発職員50人のドキュメント的な書籍と映画で本当に大変な事だったと思いますが、残念なことはこれほどまでに多くの人が被害を受けがんばってきたのにその後の原発政策が少しも進歩していないという事実です。福島の被害を見て台湾では原発ゼロに動き、アメリカでは事故が起きたときのための具体的な取り組みがはじまっています。バージニア州のサリー原子力発電所では13個の「化学防護隊・HAZMAT]ができ、原発事故が起きたら真っ先にかけつけるためのあらゆる手だてが準備されています。
 電源喪失のために炉心を冷やすことができずそのためのバッテリーが50キロ離れた備蓄基地にあるのに放射能に汚染された地域に運ぶ仕組みが無かったために原発職員は「何もないのにどうすればよいのか」という絶望感に苛まれ今も苦しんでいます。
 また、少なくとも3度、防潮堤の高さについて考え直す機会もあって職員から上司への進言もされていたのにそれも無視されてしまいました。裁判でもそうした証言もありましたが東電の社長たちは不起訴となり責任を問われませんでした。様々なことを考えさせられます。
 本当の意味の復興をすすめてほしい。被害者のかたたちの救済を改めて考えてほしい。原発のありかたをゼロから考え直してほしい。エネルギー政策を自然エネルギー中心に考えてほしい。